官民協働まちづくり
実践講座

シンポジウム

平成29年1月23日~24日 エリアマネジメントシンポジウム2017 in 関西を開催しました

官民協働まちづくり実践講座は、リレーシンポジウムの第6弾として、平成29年1月23日(月)の大阪、24日(火)の京都と二日間にわたり、「エリアマネジメントシンポジウム2017 in 関西」を開催しました。本シンポジウムは、昨年7月に発足した全国エリアマネジメントネットワーク、及び梅田地区エリアマネジメント実践連絡会と共に、地域価値の維持向上のための取り組みであるエリアマネジメントを全国に広げていくために開催されました。一日目は、グランフロント大阪 ナレッジシアターにて、大阪におけるエリアマネジメントの展望や関西各地域での活動紹介など、関西エリアのエリアマネジメント団体の代表や学識関係者が登壇し、議論が展開されました。

会場の様子
プログラム開会挨拶
全国エリアマネジメントネットワーク会長、横浜国立大学名誉教授 小林重敬氏

来賓ご挨拶
国土交通省都市局都市政策課長 井崎信也氏
大阪市都市計画局理事 高橋徹氏

基調講演
大阪市立大学工学研究科准教授 嘉名光市氏

トークセッション1「大阪のエリアマネジメントとBIDの現状と展望」
コーディネーター:
小林重敬氏
パネリスト:
大阪市都市計画局長 高橋徹氏
一般社団法人グランフロント大阪TMO 廣野研一氏
大阪市立大学工学研究科准教授 嘉名光市氏
一般社団法人大阪ビジネスパーク協議会 田ノ畑好幸氏
ミナミまち育てネットワーク 和田真治氏

トークセッション2「まちのコミュニティが支えるエリアマネジメント ~多様な主体からの期待~」
コーディネーター:
全国エリアマネジメントネットワーク副会長、法政大学教授 保井美樹氏
パネリスト:
株式会社毎日放送 赤城賢彦氏
烏丸通まちづくり協議会 細尾真生氏
長浜まちづくり株式会社 吉井茂人氏
和歌山大学経済学部教授 足立基浩氏

基調報告
京都大学経営管理大学院 御手洗潤特定教授

閉会挨拶
梅田地区エリアマネジメント実践連絡会、阪神電気鉄道株式会社常務取締役不動産事業本部長 寺川博之氏
主催・共催・後援主催:全国エリアマネジメントネットワーク、梅田地区エリアマネジメント実践連絡会、京都大学経営管理大学院
後援:国土交通省、大阪市、京都市
協力:公益財団法人都市活力研究所、烏丸通まちづくり協議会
日時2017年01月23日(月) 13:30~17:30
場所グランフロント大阪 ナレッジシアター (大阪府大阪市)

開催概要

開会挨拶

全国エリアマネジメントネットワーク会長/横浜国立大学名誉教授 小林重敬氏より開会挨拶が行われました。
・開会挨拶概要はこちら

全国エリアマネジメントネットワーク会長、横浜国立大学名誉教授 小林重敬氏

来賓ご挨拶

・来賓、国土交通省都市局都市政策課長 井崎信也氏のご挨拶概要はこちら。
・来賓、大阪市都市計画局理事 高橋徹氏ご挨拶概要はこちら。

国土交通省都市局都市政策課長 井崎信也氏
大阪市都市計画局理事 高橋徹氏 

基調講演

はじめに、大阪市立大学工学研究科准教授 嘉名光市氏より「大阪のエリアマネジメント その気風と展開」と題して基調講演が行われました。
本基調講演では、大阪の水都としての歴史やまちづくりの流れを整理し、大阪のエリアマネジメントの特徴をお話しいただきました。
具体的には、大阪では、近世から御堂筋をはじめとしたインフラ整備において民間活力の活用がなされ、町人自治の気風に見られるように官民のパートナーシップをベースとしながらまちづくりを行う土壌が存在していたという歴史的特徴について述べられました。また、水辺も含めた公共空間の利活用とエリアマネジメントが密接に関わっていること、既成市街地にエリアマネジメントを展開していること等、大阪エリアマネジメントの特徴についてもお話しされました。
さらに今後の課題として、それぞれに展開される河川空間、公園空間、道路空間の利活用や規制緩和をまちとして一体的に捉えること、観光という新しい課題に対してエリアマネジメント団体と連動していく必要性など、大阪の今後の発展への期待を力強くお話しくださいました。
・大阪市立大学工学研究科准教授 嘉名光市氏の講演概要はこちら。
・講演資料はこちら
※資料の無断転載・無断利用を禁じます。

嘉名氏による基調講演

トークセッション1「大阪のエリアマネジメントと BID の現状と展望」

トークセッション1は、小林重敬氏をコーディネーターとして、高橋徹氏、一般社団法人グランフロント大阪TMO 廣野研一氏、嘉名光市氏、一般社団法人大阪ビジネスパーク協議会 田ノ畑好幸氏、ミナミまち育てネットワーク 和田真治氏の5名のパネリストをお迎えして行われました。
まずはじめに、高橋氏より大阪市のBID制度について詳細にお話しいただき、他のパネリストの皆様から実際のエリアマネジメントの取り組みをご紹介いただきました。その後、コーディネーターの小林氏より、エリアマネジメントの広範化、普遍化についてパネリストの皆様へ質問がありました。それに対して、パネリストの皆様からは、「各エリアが持っている空間を深掘りしブランド化して効率化していく垂直展開と、各エリアの成功した事例について共通認識を持つために横串を刺していく水平展開が必要」(高橋氏)、「小さなエリアだけではなくいわゆるミナミのタウンをどう考えるかというのが非常に重要である(和田氏)、「大阪市の『Greater大阪城』という大連携の構想において我々が中心になっていきたい」(田ノ畑氏)、「エリアの体系的な観光情報をエリアマネジメント団体が中心になって作りDMOと情報交換をするようなプラットフォームが必要」(廣野氏)といった回答がなされました。
続いて小林氏よりエリアマネジメントの日常化について質問がありました。それに対して、パネリストの皆様からは、「研究を重ねることで公開空地を日常的に使う場所にしていきたい」(廣野氏)、「ワーカーにとって魅力のある平日と、ワーカーがいなくても人が集まる休日という両輪を回していきたい」(田ノ畑氏)、「公的空間の上質さを保ちつつ、人件費を含めて団体が自立する仕組みを構築することが重要」(和田氏)、「短期のイベントはコストがかかるため、日常のマネジメントがこれからの大きな課題になる」(嘉名氏)といった回答がなされました。
エリアマネジメントを取り巻く様々な課題に対して、実践者、研究者の方々がそれぞれの角度から展望をお話しされ、非常に内容の濃いトークセッションとなりました。
・トークセッション1の概要はこちら。

トークセッション2「まちのコミュニティが支えるエリアマネジメント ~多様な主体からの期待~」

トークセッション2は、全国エリアマネジメントネットワーク副会長/法政大学教授 保井美樹氏をコーディネーターとして、株式会社毎日放送 赤城賢彦氏、烏丸通まちづくり協議会 細尾真生氏、長浜まちづくり株式会社 吉井茂人氏、和歌山大学経済学部教授 足立基浩氏の4名のパネリストをお迎えして行われました。
まずはじめに、パネリストの皆様より、各地域で行われている取り組みについてご紹介いただいた後、コーディネーターの保井氏が、赤城氏に対してはイベントの成功要因やアドバイスについて、吉井氏に対しては長年の取り組みの議論や成功面あるいは課題について、細尾氏に対してはビジョンの共有の方法と官民の役割分担の具体例について、足立氏に対しては学生のまちづくりの今後の構想について尋ねられました。
パネリストの皆様からは、「学校や商業施設やメーカーなど実行委員会を構成する人がそれぞれ目的を達成するために、各社のニーズを探り素材をコンテンツ化することが重要」(赤城氏)、「イベントをやる上で人々と目的や考え方が共有されていないことが問題として挙がっており、イベント・ハード事業ともに若いプレイヤーが見当たらない点が課題である」(吉井氏)「京都の強みは一つの理念・目標に向かってオール京都で進んでいくという体制ができており、公共性が高いものは行政が関わり、非常に収益性が高いものは民間活用を積極的にやっていく形になっている」(細尾氏)、「現在は中心市街地の緑地化や農地化を学生と計画している。まちに若い人や学生がどんどん入ってくることが必要」(足立氏)といった考えが示されました。
セッション2では、エリアマネジメントに関わる様々な主体から、成功要因や人材の課題、学生が果たす役割などについて幅広い議論が行われ、今後のエリアマネジメントの活性化に向けて興味深いトークセッションとなりました。
・トークセッション2の概要はこちら。

基調報告

続いて、京都大学経営管理大学院 御手洗潤特定教授より「エリアマネジメントの現在とこれから」と題して基調報告を行いました。
基調報告では、京都大学経営管理大学院官民協働まちづくり実践講座の3年間の研究活動の報告とそこから見えてきたエリアマネジメントの実態と将来像について話しがました。
エリアマネジメントの現在の実態については、データに基づくエリアマネジメント団体の全国的な多様性、分析に基づくエリアマネジメントと商業地の地価との関係、日米独のBID制度の比較から見るBIDの本質と差異、そしてエリアマネジメント団体の分類などについて述べました。
エリアマネジメントの将来像については、エリアアマネジメントが持つ公共的な効果の拡大、公共性と稼ぐエリアマネジメントの両立、必ずしも企業や住民の利益にすぐに結びつくものではないものの地域力の向上や地域の活性化を通じて間接的に個人や企業に利益が返ってくるエリアマネジメントの長期的な効果への理解の醸成等の必要性について話しました。
・京都大学経営管理大学院 御手洗潤特定教授の報告概要はこちら。
・報告資料はこちら。
※資料の無断転載・無断利用を禁じます。

御手洗による基調報告

閉会挨拶

最後に、梅田地区エリアマネジメント実践連絡会、阪神電気鉄道株式会社常務取締役不動産事業本部長 寺川博之氏の閉会挨拶が行われました。
今回のシンポジウムでは、大阪におけるまちづくりの歴史とエリアマネジメントの特徴を概観した上で、個別の事例を通して大阪におけるエリアマネジメントの広範化、日常化などについての考え方や手法を共有しました。また様々な主体から見たエリアマネジメントの可能性を事例から学び、さらには学術的な分析によって導き出されるエリアマネジメントの実態と将来像について理解しました。このように様々なテーマを議論することで、今後のエリアマネジメントが持つ可能性を参加者が認識し、エリアマネジメントの発展に向けた機運が高まるシンポジウムとなりました。当日は、関西をはじめとする全国のエリアマネジメント関係者や行政関係者、研究者等約440名が参加し、盛会のうちに終了しました。
・閉会挨拶の概要はこちら。

梅田地区エリアマネジメント実践連絡会、
阪神電気鉄道株式会社常務取締役不動産事業本部長 寺川博之氏

平成29年1月24日 エリアマネジメントシンポジウム2017 in KANSAI 分科会@京都を開催しました

官民協働まちづくり実践講座は、全国エリアマネジメントネットワーク、梅田地区エリアマネジメント実践連絡会と共に、リレーシンポジウムの第6弾として、平成29年1月23日(月)の大阪、24日(火)の京都と二日間にわたり、「エリアマネジメントシンポジウム2017 in 関西」を開催しました。二日目は、全国エリアマネジメントネットワークの会員や全国エリアマネジメントネットワークへの参加を検討している団体に所属している方を主な対象として、京都キャンパスプラザにて「分科会」が開催されました。

会場の様子

分科会プログラム開会挨拶
烏丸通まちづくり協議会会長 長谷幹雄氏

来賓ご挨拶
京都市副市長 小笠原憲一氏

講演
姉小路界隈まちづくり協議会事務局長 谷口親平氏

会員アンケート調査結果の報告
森記念財団 丹羽由佳理氏
グループディスカッション(グループディスカッション参加申込み者)
グループディスカッション結果発表(各テーブルの代表者)

講評
全国エリアマネジメントネットワーク会長、横浜国立大学名誉教授 小林重敬氏
全国エリアマネジメントネットワーク監査役、京都府立大学名誉教授 青山公三氏

閉会挨拶
京都大学経営管理大学院院長 若林靖永氏
主催・共催・後援主催:全国エリアマネジメントネットワーク、梅田地区エリアマネジメント実践連絡会、京都大学経営管理大学院
後援:国土交通省、大阪市、京都市
協力:公益財団法人都市活力研究所、烏丸通まちづくり協議会
日時2017年01月24日(火) 9:30~12:10
場所キャンパスプラザ京都 (京都府京都市)

開催概要

開会挨拶

烏丸通まちづくり協議会会長 長谷幹雄氏より開会挨拶が行われました。
・開会挨拶概要はこちら。

来賓ご挨拶

京都市副市長 小笠原憲一氏より来賓ご挨拶を頂きました。
・来賓ご挨拶概要はこちら。

3.2来賓挨拶
京都市副市長 小笠原憲一氏 

講演

はじめに、姉小路界隈まちづくり協議会事務局長 谷口親平氏より「姉小路界隈におけるまちづくり22年」と題して講演が行われました。
本講演では、姉小路界隈でまちづくり活動が行われるようになったきっかけや実際の活動内容などについて、事例を交えてお話しいただきました。
歴史的な商店等が多く存在する姉小路界隈では、高層マンション建設に対する反対運動をきっかけに、町式目の制定や建築協定の締結、地区計画の策定などを行いながら、まちづくり活動を行っていると述べられました。また通りに面した建造物の修景事業により静かで落ち着いた住環境を実現していること、さらには住民の協力の下で暮らしや文化を継承するまちとするためのイベントを実施するなどの活動についてもお話しされました。また、今後の活動として、自動車中心の「道路」から生活を楽しむ「みち」への転換をコンセプトとして、道路空間の安全な利活用を推進に取り組んでいくことを熱くお話しくださいました。
・講演概要はこちら。
・講演資料はこちら
※資料の無断転載・無断利用を禁じます。

姉小路界隈まちづくり協議会事務局長 谷口親平氏

会員アンケート調査結果の報告

続いて、森記念財団 丹羽由佳理氏より、エリアマネジメントの組織体制、活動内容、課題といった最新の動向を把握するために実施された、全国エリアマネジメントネットワーク会員向けアンケート調査の結果が報告されました。
・報告概要はこちら。
※資料の無断転載・無断利用を禁じます。

森記念財団 丹羽由佳理氏

グループディスカッション

会場を移動し、リレーシンポジウム初めての試みとして、全国のエリアマネジメント団体や自治体等による双方向のコミュニケーションとして、グループディスカッションが行われました。
グループディスカッションでは、全国エリアマネジメントネットワーク会員の団体や全国の自治体などの中から事前の応募によって決定した総勢56名の参加者が、エリアマネジメントの課題ごとに以下の5つのテーブル(7班)に分かれ、7~10名の参加者によって構成されたグループで、各グループ1名のコーディネーターのもと意見交換を行いました。

グループディスカッション(テーブル編成)
テーブルNo.1(参加者9名):公共的空間の利活用と財源①(道路空間)
コーディネーター:大丸有エリアマネジメント協会 藤井宏章氏
テーブルNo.2(1班-参加者8名、2班-参加者7名):公共的空間の利活用と財源②(広場、公園、河川、公開空地等)
コーディネーター:(1班)法政大学教授 保井美樹氏、(2班)札幌駅前通まちづくり株式会社 白鳥健志 氏
テーブルNo.4(参加者8名):エリアマネジメント組織の運営と人材
コーディネーター:梅田地区エリアマネジメント実践連絡会 植松宏之氏
テーブルNo.5(1班-参加者7名、2班-参加者7名):エリアマネジメントの評価
コーディネーター:(1班)京都大学経営管理大学院 御手洗潤特定教授、(2班)リージョンワークス合同会社 後藤太一氏
テーブルNo.6(参加者10名):行政によるエリアマネジメント政策
コーディネーター:全国エリアマネジメントネットワーク事務局(㈱フロントヤード)長谷川隆三氏
※テーブルNo.3は未開催。テーブルNo.2とNo.5は2グループで開催。

グループディスカッション結果発表

グループディスカッション終了後、一堂に会して各グループの代表者よりディスカッションの結果発表が行われました。

講評

各グループからの発表に続いて、全国エリアマネジメントネットワーク会長、横浜国立大学名誉教授 小林重敬氏、および全国エリアマネジメントネットワーク監査役、京都府立大学名誉教授 青山公三氏から、講評をいただきました。
小林氏からは、各グループで異なるテーマで話し合いながらも、エリアマネジメントの公共性と成果が出るまでの長い時間軸をどのように認識するのかという二点の課題が共通しており、今後の継続的な議論の必要性についてお話しがありました。
青山氏からは、ニューヨークの事例を基に、契約の仕組み、団体間の交流、評価の見える化、官民の連携の四点について、エリアマネジメントの取り得る方向性についてお話しがありました。
・グループディスカッション講評概要はこちら。

閉会挨拶

最後に、京都大学経営管理大学院院長 若林靖永氏の閉会挨拶が行われました。
今回の分科会では、グループディスカッションなど、従来のシンポジウムとは異なる形の学び合いを行うことにより、関係者の交流から学びあい、さらに人材の育成に発展する今後のエリアマネジメントの人材面の課題の解決に向けた新たな可能性が見いだされました。二日目の分科会では全国エリアマネジメントネットワーク会員を中心に190名が参加し、盛会のうちに終了しました。
・閉会挨拶の概要はこちら
・チラシはこちら

京都大学経営管理大学院院長 若林靖永氏

 

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