官民協働まちづくり
実践講座
各回開催概要
平成29年11月9日 第2期第2回官民連携まちづくり研究会を開催しました
第2期第2回官民連携まちづくり研究会
平成29年11月9日(木)、京都大学旧演習林事務室共同会議室にて、第2期第2回官民連携まちづくり研究会が開催されました。研究会前半では、「開発型エリアマネジメントと環境」の議題について、事務局吉田恭より「横浜市のマンションの里山管理の事例について」、続いて植松宏之委員より「阪急彩都プロジェクトコミュニティ形成支援活動について」、そしてゲストスピーカーの株式会社フォーシーカンパニー代表取締役社長中澤博司氏より「まちとひとを紡ぐ開発型エリアマネジメントの事例」の講演が行われました。後半では、研究成果報告として、足立基浩座長より「ソーシャルキャピタルとエリアマネジメントについて」、続いて事務局上野美咲より「エリアマネジメントが地価に及ぼす影響について」の報告が行われました。
議題:「開発型エリアマネジメントと環境」

「横浜市のマンションの里山管理の事例について」:
事務局 吉田恭(京都大学経営管理大学院特定教授)
横浜市東戸塚にある「フォートンヒルズ」というマンションは、自治会と管理団体で敷地内の里山を管理している。また開発業者と横浜市との間で、緑地保存契約を締結して、固定資産税や、都市計画税の一部に相当する緑地保全奨励金を受けている。この事例のように、開発業者が開発早期に公益性のあるコンセプトを確立し、それに賛同するような入居者を集め、入居前から、コミュニティづくりを行うことにより、様々な領域でソーシャルキャピタルを生み出す公益的なエリマネを育てることができるのではないかとの報告がなされました。
「阪急彩都プロジェクトコミュニティ形成支援活動について」:
阪急電鉄不動産事業本部都市マネジメント事業部副部長 植松宏之 委員
大阪梅田から20キロ圏のニュータウンである国際文化公園都市、愛称「彩都」を開発当初より民間企業の立場で関わられた経緯について、彩都プロジェクトの4つの視点からお話し頂きました。そして、「コミュニティ」と「環境」をコンセプトにして、共用施設を住民同士が利用できるシステムを導入して、自治体とは違う組織「彩都スタイルクラブ」や、住民誰もが参加活動できる「一般社団法人コミュニティ彩都」など、まちを長期に維持運営する仕組みづくりについてお話を頂きました。また、現況林を残して住宅開発をした、珍しい里山付き住宅の事例も紹介されました。
「まちとひとを紡ぐ開発型エリアマネジメントの事例」:
株式会社フォーシーカンパニー代表取締役社長 中澤博司氏
開発型エリアマネジメントとして、①地域開放型コミュニティカフェ&管理組合保有保存林②地域町会との協働で公共公園でのガーデン活動③駅前再開発における駅ビル、商業、住宅協働の街づくりの3つの事例をご紹介頂き、マンション等の大規模な住宅開発において持続可能な「コミュニティ」づくりは、開発業者にとっても販売促進のみならず、企業のCSR、社会的意義のあるものとして取り組まれている様子などをお話し頂きました。
研究結果報告
「ソーシャルキャピタルとエリアマネジメントについて」:
足立基浩 座長(和歌山大学副学長経済学部教授)
各地でのワークショップやアンケート調査結果を基にした研究報告が行われました。幼少期におけるまちづくりやエリアマネジメントの参加が地域に関心がある個人への人格形成に必要であることや、多世代型で若者の多い組織が地域資源を重視する傾向にあること等、幾つかの検証結果から、地域に根差したエリアマネジメント活動を促進するためには、多世代型になるようなインセンティブ付けを行う必要があることなど、ソーシャルキャピタル論、多世代型の議論が関連してくるというお話をされました。
「エリアマネジメントが地価に及ぼす影響について」:
事務局 上野美咲(和歌山大学経済学部特任助教)
第1期の研究会における「エリアマネジメント活動により地価が上昇する」という研究結果を受け、今回は、それとは異なる手法で東京、大阪、愛知の3都府県とそれ以外の地方都市に区分けをして比較分析をした結果、エリアマネジメントは、大都市、地方都市を問わず一般的に地価を上昇させる効果を有するものであるという報告がなされました。