アート・コミュニケーションデザインと
組織経営寄附講座

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「アート・コミュニケーションデザイン実践演習」(2022)第13回〜第15回の講義報告

蓮行特定准教授による講義「アート・コミュニケーションデザイン実践演習」がスタートしました。本授業は全15回(5日間)の集中講義で、2022年は土曜日に開講されました。

この授業では、受講生の皆さんに蓮行特定准教授の開発した「演劇的手法によるワークショップ」を実際に体験してもらうと共に、グループワークで小芝居の創作などにも挑戦してもらいます。実践を通して「コミュニケーションデザイン」の核心に触れていただく、アクティブラーニング型の授業です。

●授業の様子

5日目 12月17日(土)13:15〜18:15

集中講義の最終日となる5日目は、グループワーク課題の発表を行う回でした。

グループワーク課題は、『「学び続け、変革し続ける組織」のためのデザイン』。

このテーマのもと、受講生自身で、演劇作品の創作やワークショップデザインに取り組んでもらいました。

その内容を簡単にご紹介します。

「チャモローク星人」(演劇作品の上演)

地球防衛軍宛に、チャモローク星人から「御星の制服を励行させて頂きたく、お願い申し上げる。御返信御返答のない場合は、御承諾されたものを見做し、弊星人が進行させて頂く」との書面が届く。この書面に対してどう回答するか、思案する地球防衛軍。

まず、2種類の回答が提案されるも、「ちょっと、地球を守る気概が感じられない…」

次に、チャモローク星人の通知を強気に拒否する回答が提案されるも、「地球を守る気概を感じる一方で、敵対心が満々で、逆上されるかも…」

これらの回答を分析していたのは人工知能。人工知能は回答を学習・分析し「親しみが感じられるとともに、地球を守る責任感が感じられる文面」を提案する。

チャモローク星人は、人工知能の作成したメールの回答に心を打たれ、征服を諦める。

-END-

「尺度ゲーム」(ワークショップ実践)

参加者に、1から20までの数字が書かれたカードを引いてもらう。

参加者が、自分の引いた数字を周りに伏せながら、テーマに沿った事柄を発表する。

その内容から、各人の数字を予想し、チームで順番通りに並べていく。

例)

「生物の大きさ」→20に近いほど大きい生物、1に近いほど小さい生物を発表

「仕事で無駄と思うこと」→20に近いほど無駄だと思うこと、1に近いほど無駄ではないと思うことを発表

蓮行特定准教授からは、以下のような講評がありました。

「チャモローク星人」

映像をわざわざ準備した上で全員がライブで出演している。シナリオを考え、事前の準備もしっかりして、その場でもキャラが動く。準備の負荷も本番の負荷も高いパフォーマンスであった。私が教養を大学の学びで重要視している(世界平和のために教養が必要だと考えている)のでやり過ぎてくれることはありがたいと思う。

地球人同士の争いでなく、vs宇宙人にしたということは不要な価値観紛争を避けるために非常に重要であり、気楽に見られる上手い設定になっている。AIがまとめるというところで近未来感も出ていて面白かった。

「尺度ゲーム」

カードを用意しておけばどこでもでき、社会実装性の高いアクティビティだった。

一方で、このワークを通して起こるのは「価値観のソフトなぶつかり合い」であるため、その設定や仕掛けをどうするかが設計の肝になる。今回の授業のように、利害関係の薄いメンバーの場合はうまく運用できるが、職場など利害関係がある場合は難しい可能性がある。場と人によっては問題が生じる可能性も頭に置いておかなければならない。ベネフィットとリスクを意識することが必要である。

本講義では、全5日間、15コマの授業を通して、演劇的手法を用いたワークショップ、ショートストーリーの創作、受講生自身によるワークショップ実践を体験してもらいました。

受講生の皆さんには、こうした内容の実践が「短期的にもビジネスに活かせそうな感覚」と「ゆっくりと活きてくる遅効性」を感じてもらえたようでした。また、蓮行特定准教授が、授業のなかで度々、「民主主義」「権力の機能」「権力の濫用を避けること」に触れていたことで、そうしたキーワードが印象に残ったという受講生も多くいました。受講生の皆さん、5日間の授業、お疲れ様でした。ありがとうございました。

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